台湾特許実務においても第三者意見書(TPO)があります。

発明特許のみに情報提供(専利法施行細則第39条)が適用され、日米と異なり、実用新案、デザイン特許には適用されません

また、台湾において情報提供ができる時期は、査定前までです。日本や、米国、欧州など査定後のTPO制度がある場合に比べて、台湾では特許査定後は、無効審判が提起されるまで、情報提供などの公衆審査制度がない期間があります。

台湾における情報提供

  1. 法的根拠:専利法施行細則第39条
    発明特許出願案の査定前に、何人も該発明に特許を付与すべきでないと考える時は、特許主務官庁に対し理由及び関連証明書を付して意見陳述をすることができる。
  2. 運用:2020年6月24日以降、査定前の案件であれば適用され、未公開の案件にも適用が緩和されました。
    これは、台湾で一案二出願(同日に発明特許と実用新案を出願)した場合、実用新案に対応する発明出願案に対し、(該発明出願がまだ公開されていなくても)意見書を提出できる、という規定です。

実務問題

Q1 台湾で情報提供をするための必要文書は?

  1. 申請書(申請人情報):原則匿名となります。今後は願書にチェックを入れたばあいに、情報提供者の情報が公開されます
  2. 引証文献目録:提供された文献情報がインターネット上で公開されます。
  3. 理由書
  4. 添付資料
    引証文献資料:特許文献ではない情報について提供する必要があります。
    公開日証明書:引証文献が非特許文献もしくは刊行物でない場合に必要。
    外国語資料の翻訳:英語以外の外国語資料は、引用した段落の訳本が必要。

Q2 情報提供ができる内容に制限はあるの?

発明特許出願案第三者意見作業要点第3点によれば、専利法第46条規定の、特許を付与しない事由のいずれについても意見書提出ができます。

つまり、新規性、進歩性、明確性要件、新規事項導入などだけでなく、先願原則違反などを理由としても情報提供ができます。

Q3 情報提供をしたい資料がウエブ上の情報の場合、公開日をどのように証明すればいい?

ウエブサイト情報の公開時点の証明方法としては、以下が挙げられます。

  • インターネットアーカイブサービス:
    Wayback Machine…(www.archive.org)
  • ウエブページ 又は アーカイブ変更履歴のタイムスタンプ:
    ウィキペディア編集履歴…
  • ファイルディレクトリ又は データ自動加筆などコンピュータが発生するタイムスタンプ
    ブログ文章又はSNSメッセージの発信時間
  • サーチエンジンが提供する索引日時
    グーグルのキャッシュ…

Q4 引証文献目録でどこまで公開されるのか?

特許文献

文献番号 特許公開/公告番号 特許文献 公開日 引用段落

 

非特許文献

文献番号 発明の対象 作者 出版社又は資料出典 公開日 引用段落

Q5 意見書の内容も公開されますか?

意見書(特許拒絶理由)の内容は、何人も「閲覧」を申請して取得する必要があります。インターネット上では公開されません。

Q7 特許出願の出願人は第三者から情報提要があったことを通知されますか?

台湾知財局は、出願人に第三者情報提供があった事実を通知します(2020年9月以降~)