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【出典】 日本台湾交流協会 台湾知的財産権情報サイト

2021年度、台湾における日本の地名などに関する商標出願の調査。

調査期間:2021年5月1日~5月14日

調査方法:台湾知財局 「商標検索系統」https://twtmsearch.tipo.gov.tw/OS0/OS0101.jsp

台湾などの外国企業・個人が出願した日本地名を含む商標

商標登録された都道府県名:16

秋田、福島、千葉、神奈川、富山、石川、福井、長野、静岡、三重、京都、山口、香川、福岡、佐賀、熊本、東京、大阪

商標出願されている都道府県名:1

富山

商標登録された政令指定都市:5

仙台、川崎、横浜、名古屋、堺

実際には全体でどのくらい商標出願/登録されているの?(国籍不問)

KYOTO

70件

 

CHIBA

32件

 

SAKAI

14件

検索して内訳をみると...

  • 台湾の企業も数多く日本地名を使用して商標出願しています!
県名 総件数(件) 日本出願人 台湾出願人

(その他国籍含まない)

東京 132 63 58
京都 70 13 55
富山 62 3 59
北海道 56 45 11
石川 35 3 32
千葉 32 5 27
大阪 27 8 8
三重 23 1 16
熊本 18 2 16
佐賀 16 4 12
岡山 15 0 15(台湾の地名)
山形 14 6 8
香川 13 0 13
山口 12 0 12
福井 10 1 9

 

県名 総件数(件) 日本出願人 台湾出願人(その他国籍含まず)
秋田 9 1 8
島根 7 3 4
長崎 7 3 4
青森 6 6 0
長野 6 1 5
福岡 5 0 5
新潟 4 4 0
福島 4 0 4
愛知 3 1 2
奈良 3 1 2
山梨 2 1 0
大分 2 1 1
宮城 1 1 0
群馬 1 1 0
沖縄 1 1 0
愛媛 1 1 0
高知 1 1 0
宮崎 1 0 1
滋賀 1 0 1

 

総件数=出願中+登録(2022年1月20日当所調べ)

地域団体商標

現在、例として以下が出願登録されています。

■台湾等外国企業・個人:1

西陣織 (出願中)

■権利者が関与した出願:20件

例)十勝川西長いも (登録:31類)

東川米 (登録:30類)

宇治抹茶(登録:30類)

今治タオル(登録:24類)

琉球泡盛 (登録:33類)

地理名称を含む商標出願の審査

台湾における「地名を含む商標」出願の識別性審査の判断

審査基準4.5.1:描写性の地理名称通常は識別性を有さない

消費者は地理名称が施された商品/役務について、産地の説明など、商品/役務の関連説明であるとみなす。

  • 拒絶査定の例
  1. 「花東」
    有名なコメの産地。米商品を指定商品とした商標出願は、産地の説明である。

  2. 指定商品をミックス植物飲料、青草植物茶などにすると、消費者は指定商品は台湾由来であると連想し、産地の説明である。

審査基準4.5.2任意性の地理名称:識別性あり

地理名称が指定商品/役務と何ら関連性がない場合、また消費者がそれを商品産地、役務提供地と認識しないときは、地理名称の任意の使用であり、識別性を有する

  • 商標登録例:
    1. 玉山」—台湾最高峰の山脈。指定役務の銀行サービスとは全く関連がなく、地理名称の任意使用であるから、識別性を有する。
    2. 「北極」—指定商品:漆、塗料商品

例:任意性の地理名称

nagano

  • 商標登録:第01487536
  • 公告日:2011/12/01
  • 出願人:周○○
  • 指定商品:手動手工具(8類)

審査基準4.5.4地理名称を含む文字組合せ

■地理名称とその他文字の組合せが商品/役務と該地理区域との関連説明を逸脱していれば、識別性を有する。

■当該文字と組合せた全体の意味が、やはり商品/役務の関連描写であるときは識別性を有さない。

■拒絶の例:「東京本舗」:指定商品 ケーキ、パン商品

■登録の例:「巴黎男孩 PARIS BOYS」:指定商品 衣類

審査基準4.5.4地理名称を含む文字組合せ 登録例

tokyo tokai

  • 商標登録:第01381042
  • 公告日:2009/10/01
  • 出願人:陳○○
  • 指定役務:44類 マッサージ、アロマ療法サービス、美容、美髪、サウナ、ダイエットカウンセリング、民間療法の診療

地名商標の冒認の予防

登録異議の申し立て—-冒認出願の取り消し

• 登録異議の申し立て
商標登録公告から3ヵ月以内であれば、利害関係者のみならず、誰でも異議申し立てを行うことができます(商標法第48条)。

• 商標登録無効審判(評定)
商標登録公告から5年内であれば、利害関係者のみ、無効審判を請求することができます(商標法第57条)。

その際に、以下の証拠が必要となります。

  1. 地名を冒認出願された場合 (商標法第30条1項8号)
    産地の誤認のおそれを証明するに際して、「台湾の消費者」が「地名」 と認識可能であった事を証明する資料が必要。例えば「地名」が入った産品等の台湾での販売や、「地名」が掲載された観光雑誌等の台湾での販売事実等。
  2. 著名商標を冒認出願された場合 (商標法第30条1項11号)
    著名商標であることを証明する資料が必要。なお、資料は「台湾の消費者」が接触することが可能で(例えば、当該商標の商品の販売実績/役務の提供実績、通販サイトのスクリーンショット、又はチラシなど)、商標の使用を認識可能であったことを証明することが必要。又、繁体中文もしくは英語の資料が望ましい。
    ❸ 非著名商標を冒認出願された場合 (商標法第30条1項12号)
    正当な権利者の商標を知り得たことを示す資料。又、正当な権利者が冒認出願した者と契約、地縁、業務上の取引又はその他の関係によりその商標の存在を知っており、意図的に模倣して登録出願することを証明する資料が必要。

参考資料

  • 日本台湾交流協会 台湾知的財産権情報サイト
    台湾における日本の地名等に関する商標出願・登録の調査結果(2021 年度)
  • 日本特許庁:台湾冒認出願対策リーフレット
  • 台湾商標識別性審査基準(2012年7月1日発効)4.5地理名称又はその他地理由来を指示する標識 P22~P25
  • 台湾知財局商標検索システム